2023.02.15

数学グラフ

同じマンハッタン距離の座標をプロット

SwingパッケージとAxis2Dクラスを使って、同じマンハッタン距離座標をプロットする方法を解説します。

マンハッタン距離は、以下のように計算する距離のことです。x1とx2の差の絶対値と、y1とy2の差の絶対値の和で計算します。

マンハッタン距離

以下は、基準の座標( 2, 1 )とマンハッタン距離10を指定してプロットした例です。

黒い●は座標( 2, 1 )で、赤い●は座標( 2, 1 )からマンハッタン距離10の座標でです。

同じマンハッタン距離の座標をプロット

Axis2Dクラスの詳細な説明と、ソースコードの取得は以下の記事を参照してください。

Graphicsオブジェクトにxy-座標とグリッド(格子)を描画するクラスを作成しました。Javaのソースコードで詳しく解説しています。

2023.01.24

Javaソースコード

Axis2DMHDistance.java

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import java.awt.*;
import javax.swing.*;

public class Axis2DMHDistance {
	public static void main(String[] args) {
		// フレームの大きさを設定
		int w = 400;
		int h = 320;

		// フレームを作成
		JFrame frame = new JFrame();

		//  タイトル名を設定
		frame.setTitle( "マンハッタン距離" );


		// 内側フレームの大きさを設定
		frame.getContentPane().setPreferredSize( new Dimension( w, h ) );
		frame.pack();

		// ”×”ボタンを押した時の処理を設定
		frame.setDefaultCloseOperation( JFrame.EXIT_ON_CLOSE );

		// フレームにパネルを追加
		MyPanel panel = new MyPanel();
		frame.getContentPane().add( panel );

		// フレームを表示
		frame.setVisible( true );
	}
}


// JPanelを継承したMyPanelを作成
class MyPanel extends JPanel {
	public MyPanel() {
		// 背景色を白(white)に設定
		setBackground( Color.white );
	}


	// 描画
	public void paintComponent( Graphics g ) {
		super.paintComponent( g );

		// フレームの大きさを取得
		int frame_w = getWidth();
		int frame_h = getHeight();

		// グラフィック座標の原点座標をフレームの真ん中に設定
		int ox = frame_w / 2;
		int oy = frame_h / 2;

		// グラフィック座標のグリッド幅を設定
		int grid_x = 12;
		int grid_y = 12;

		// 数学座標のグリッド幅を設定
		double scale_x = 1.0;
		double scale_y = -1.0;

		// 座標軸とグリッドを描画
		// Axis2Dオブジェクトを作成
		Axis2D axis = new Axis2D();

		// 描画情報を設定
		axis.init( frame_w, frame_h, ox, oy, grid_x, grid_y, scale_x, scale_y );

		// 描画
		axis.draw_grid( g, Color.black, Color.cyan );

		// 原点(origin_x,origin_x)から同じマンハッタン距離mdistanceの座標に円を描画
		// 原点座標を格納する変数を宣言
		int origin_x = 2;
		int origin_y = 1;

		// マンハッタン距離を格納する変数を宣言
		int mdistance = 10;

		// 原点座標に 黒の●を描画
		axis.draw_fillcircle( g,  (double)origin_x,  (double)origin_y, 5, Color.black );

		// プロット処理
		for ( int y = -mdistance; y <= mdistance; y++ ) {
			for ( int x = -mdistance; x <= mdistance; x++ ) {
				// 原点(origin_x,origin_x)からのマンハッタン距離mdを計算
				int md = Math.abs( x ) + Math.abs( y );

				// 計算したマンハッタン距離mdとmdistanceの一致判定
				if ( md == mdistance ) {
					// 赤の●を描画
					axis.draw_fillcircle( g,  (double)( x + origin_x ),  (double)( y + origin_y ), 5, Color.red );
				}
			}
		}
	}
}

ソースコードの解説

ここから、「Axis2DMHDistance.java」を解説していきます。

001
002
import java.awt.*;
import javax.swing.*;

Javaクラスライブラリの中から「java.awt」と 「javax.swing」というパッケージにあるクラスを、このプログラム内で使うために記述します。

004
public class Axis2DMHDistance {

クラス名を、Axis2DMHDistanceとしています。

005
	public static void main(String[] args) {

このmainメソッドからプログラムを実行します。

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007
008
		// フレームの大きさを設定
		int w = 400;
		int h = 320;

フレームの大きさを設定するint型変数wとhにそれぞれ400と320を代入しています。wは幅で、hが高さです。

010
011
		// フレームを作成
		JFrame frame = new JFrame();

JFrameオブジェクトを作成しています。

013
014
		//  タイトル名を設定
		frame.setTitle( "マンハッタン距離" );

setTitleメソッドで、タイトルに”xy-座標”を設定しています。

017
018
019
		// 内側フレームの大きさを設定
		frame.getContentPane().setPreferredSize( new Dimension( w, h ) );
		frame.pack();

setPreferredSizeメソッドとpackメソッドで内側のサイズを指定したフレームを作成しています。変数wとhを使って、サイズを(400,320)にしています。

021
022
		// ”×”ボタンを押した時の処理を設定
		frame.setDefaultCloseOperation( JFrame.EXIT_ON_CLOSE );

"×"ボタンをクリックしたときに、フレームを閉じる処理を設定しています。

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026
		// フレームにパネルを追加
		MyPanel panel = new MyPanel();
		frame.getContentPane().add( panel );

フレームにパネルに追加しています。

このパネルで、サインカーブのグラフを表示いています。34行目以降を参考にしてください。

028
029
		// フレームを表示
		frame.setVisible( true );

setVisibleメソッドtrueを渡して、フレームを表示しています。

034
035
// JPanelを継承したMyPanelを作成
class MyPanel extends JPanel {

JPanelを継承したMyPanelクラスを作成しています。

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038
	public MyPanel() {
		// 背景色を白(white)に設定
		setBackground( Color.white );

クラス名と同じ名前のメソッドMyPanel()はコンストラクタと呼ばれ、クラス作成時に呼ばれます。そのメソッドの中に初期化の処理を記述します。

ここでは、setBackgroundメソッドにColor.whiteを渡して、背景色を白にする処理を記述しています。

042
043
	// 描画
	public void paintComponent( Graphics g ) {

paintComponentメソッドは、画面の表示が必要な時に呼ばれるメソッドです。

044
		super.paintComponent( g );

スーパークラスのpaintComponenメソッドを呼び出しています。これで、コンポーネントに必要な表示などが行われます。

046
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048
		// フレームの大きさを取得
		int frame_w = getWidth();
		int frame_h = getHeight();

フレームの大きさを取得しています。

getWidthメソッドで、現在のコンポーネントの幅を取得し、int型変数frame_wに代入しています。

getHeightメソッドで、現在のコンポーネントの高さを取得し、int型変数frame_hに代入しています。

050
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052
		// グラフィック座標の原点座標をフレームの真ん中に設定
		int ox = frame_w / 2;
		int oy = frame_h / 2;

グラフィック座標原点座標(ox,oy)を設定しています。ここでは、フレームの中心座標が原点になるようにしています。

原点のx座標を格納する変数oxには、フレームの幅を格納した変数frame_wを2で割った値を代入しています。

原点のy座標を格納する変数oyには、フレームの高さを格納した変数frame_hを2で割った値を代入しています。

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		// グラフィック座標のグリッド幅を設定
		int grid_x = 12;
		int grid_y = 12;

グラフィック座標のグリッド幅grid_x、グリッド高さgrid_yを設定しています。

ここでは、変数grid_xと変数grid_yに12を代入しています。

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		// 数学座標のグリッド幅を設定
		double scale_x = 1.0;
		double scale_y = -1.0;

数学座標のグリッド幅scale_x、グリッド高さscale_yを設定しています。

ここでは、変数scale_xに1.0、変数scale_yに-1.0を代入しています。

これで、X方向の12pixel(grid_x=12)が数学座標で1.0を表し、Y方向の12pixel(grid_y=12)が数学座標で-1.0を表したことになります。

グラフィック座標系Y軸の+(プラス)は下方向で、XY座標系Y軸の+(プラス)は上方向です。変数scale_yにマイナス値を代入することで数学座標系Y軸の+(プラス)が上方向になります。

062
		// 座標軸とグリッドを描画

ここから、座標軸とグリッドを描画する処理です。

063
064
		// Axis2Dオブジェクトを作成
		Axis2D axis = new Axis2D();

Axis2Dのオブジェクトaxisを作成しています。

066
067
		// 描画情報を設定
		axis.init( frame_w, frame_h, ox, oy, grid_x, grid_y, scale_x, scale_y );

描画する情報を設定しています。

Axis2D.initメソッド

public boolean init( int fw, int fh, int ox, int oy, int gx, int gy, double sx, double sy )
・描画するxy-座標の情報を設定します。

  パラメータ fw     : フレームの横のピクセル数
        fh     : フレームの縦のピクセル数
        ox     : グラフィック座標の原点xの位置(pixel) 
        oy     : グラフィック座標の原点yの位置(pixel) 
        gx     : グラフィック座標のグリッドの幅(pixel) 
        gy     : グラフィック座標のグリッドの高さ(pixel) 
        sx     : 数学座標のグリッドの幅(gxあたりの幅)
                       例)sx=1.0を指定した場合、数学座標でのグリッド幅は1.0になり、右方向が+(プラス)となります。
                       例)sx=-0.5を指定した場合、数学座標でのグリッド高は-0.5になり、右方向が-(マイナス)となります。
        sy     : 数学座標のグリッドの高さ(gyあたりの高さ)
                       例)sy=-1.0を指定した場合、数学座標でのグリッド幅は-1.0になり、上方向が+(プラス)となります。
                       例)sy=1.0を指定した場合、数学座標でのグリッド高は1.0になり、上方向が-(マイナス)となります。
                         グラフィック座標のY軸のプラス方向は下で、数学座標のY軸のプラス方向は上です。
                         このメソッドでは、syにマイナスを代入することで数学座標の上方向をプラスにしています。

  戻り値    true   : 設定に成功
         false  : 設定に失敗
069
070
		// 描画
		axis.draw_grid( g, Color.black, Color.cyan );

ここで描画しています。座標軸の色は黒(Color.black)、グリッド線の色はシアン(Color.cyan)にしています。

Axis2D.draw_gridメソッド

public void draw_grid( Graphics g, Color axiscolor, Color gridcolor )
・座標軸とグリッドを描画します。

  パラメータ g : 描画するGraphicsオブジェクト
        axiscolor : 座標軸の色
        gridcolor : グリッド(格子)の色

  戻り値   なし

  詳細     initメソッドで設定後に、このメソッドを呼ぶとGraphicsオブジェクトに座標とグリッドを描画します。座標軸とグリッドの線幅は1です。
072
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		// 原点(origin_x,origin_x)から同じマンハッタン距離mdistanceの座標に円を描画
		// 原点座標を格納する変数を宣言
		int origin_x = 2;
		int origin_y = 1;

マンハッタン距離を計算する基準の座標を格納するint型変数を宣言し、初期値を代入しています。

origin_xは基準のx座標、origin_yは基準のy座標です。

ここでは座標( 2, 1 )を指定していますが、任意の値に変更してもよいです。

077
078
		// マンハッタン距離を格納する変数を宣言
		int mdistance = 10;

マンハッタン距離を格納するint型変数mdistanceを宣言しています。

ここでは10を指定していますが、任意の値に変更してもよいです。

080
081
		// 原点座標に 黒の●を描画
		axis.draw_fillcircle( g,  (double)origin_x,  (double)origin_y, 5, Color.black );

基準の座標に黒色の●を描画しています。円の半径は5にしています。

色と半径は、変更してもよいです。

Axis2D.draw_fillcircleメソッド

public void draw_fillcircle( Graphics g, double x, double y, int radius, Color color )
・塗りつぶし円を描画します。

  パラメータ g : 描画するGraphicsオブジェクト
        x : 数学座標の円の中心座標x
        y : 数学座標の円の中心座標y
        radius : グラフィック座標の円の半径
        color : 色

  戻り値   なし

  詳細     initメソッドで設定後に、このメソッドを呼んでください。
083
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085
		// プロット処理
		for ( int y = -mdistance; y <= mdistance; y++ ) {
			for ( int x = -mdistance; x <= mdistance; x++ ) {

変数xと変数yのfor文2重ループを作っています。

基準座標( origin_x, origin_y )との距離がmdistanceになる座標の範囲は、

( origin_x - mdistance, origin_y - mdistance ) - ( origin_x + mdistance, origin_y + mdistance )

です。

よって、変数xと変数yを-mdistanceからmdistanceを1つずつ増加するfor文を作成しています。

086
087
				// 原点(origin_x,origin_x)からのマンハッタン距離mdを計算
				int md = Math.abs( x ) + Math.abs( y );

マンハッタン距離は、基準の座標( origin_x, origin_y )と座標( origin_x + x, origin_y + y )で計算します。

そのまま、コードに記述すると

	int md = Math.abs( ( origin_x + x ) - origin_x ) + Math.abs( ( origin_y + y ) - origin_y );

となりますが、上記のコードからorigin_xとorigin_yは引き算によって0になるので、

	int md = Math.abs( x ) + Math.abs( y );

としています。

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				// 計算したマンハッタン距離mdとmdistanceの一致判定
				if ( md == mdistance ) {
					// 赤の●を描画
					axis.draw_fillcircle( g,  (double)( x + origin_x ),  (double)( y + origin_y ), 5, Color.red );
				}

計算によって求めたマンハッタン距離mdと指定したマンハッタン距離mdistanceが同じ場合、座標( origin_x + x, origin_y + y )に赤色の●を描画しています。円の半径は5にしています。

色と半径は、変更してもよいです。

以上です。

Axis2DMHDistanceのコンパイル

コンパイルには、"Axis2DMHDistance.java"の他に、「Axis2D.java」と「Transformation2d.java」が必要です。

以下の記事から取得してください。

Graphicsオブジェクトにxy-座標とグリッド(格子)を描画するクラスを作成しました。Javaのソースコードで詳しく解説しています。

2023.01.24

コンパイル方法

javac Axis2DMHDistance.java

ソースファイル文字コードを指定してコンパイルする場合は、以下の方法をお試しください。

コンパイル方法(ソースの文字コードが"ANSI"の場合)

javac -encoding sjis Axis2DMHDistance.java

コンパイル方法(ソースの文字コードが"utf-8"の場合)

javac -encoding utf-8 Axis2DMHDistance.java

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