2016/01/26 公開
・より自然なグレースケール変換
グレースケール変換とは、カラーの画像を白・灰色・黒だけで表現した画像に変換することです。
別ページのグレースケール変換では、RGBの平均値によりグレー画像を作成する方法を紹介しましたが、ここではNTSC 加重平均法という方法を使った変換を解説します。
NTSC 加重平均法とは、RGBの輝度にそれぞれ重みを付けて平均を求める方法で、輝度の計算には輝度=0.29891×R + 0.58661×G + 0.11448×Bを使います。重み係数は,国際電気通信連合の規格に規定されているものです。この計算式によって得られた輝度で画像作成すると、より自然な画像が得られます。自然界にあまり存在しない青の輝度の重み係数が小さくなるように設定されています。
次に、フルカラー(24bit)画像をグレースケール画像に変換するソースコードを解説します。以下が、そのソースコード例です。
GrayScale2.java ← クリックしてダウンロードページに移動001: import java.awt.image.BufferedImage; 002: import java.io.File; 003: import javax.imageio.ImageIO; 004: import java.io.IOException; 005: 006: public class GrayScale2 { 007: public static void main( String[] args ) { 008: // 結果格納フラグ 009: boolean result; 010: // ファイル名 011: String inname, outname; 012: // 画像格納クラス 013: BufferedImage img = null; 014: 015: // 入力した引数が2つ以上かを調べる 016: if ( 2 > args.length ) { 017: // 入力した引数が2つ未満の場合、使用方法を表示する 018: System.out.println( "GrayScale2 [入力JPEG名] [出力JPEG名]" ); 019: return; 020: } 021: 022: // 入力JPEG名をinnameに代入(拡張子".jpg"省略なし) 023: inname = args[ 0 ]; 024: // 出力JPEG名をoutnameに代入(拡張子".jpg"省略なし) 025: outname = args[ 1 ]; 026: 027: try { 028: // inname(入力JPEG)を読み込んでimgにセット 029: img = ImageIO.read( new File( inname ) ); 030: } catch (Exception e) { 031: // inname(入力JPEG)の読み込みに失敗したときの処理 032: e.printStackTrace(); 033: return; 034: } 035: 036: // 画像の色の持ち方をチェック 037: if ( BufferedImage.TYPE_3BYTE_BGR != img.getType() ) 038: { 039: System.out.println( "対応していないカラーモデルです!(" 040: + inname +")" ); 041: return; 042: } 043: 044: // グレースケール変換 045: int x, y; 046: int width, height; 047: int color, r, g, b; 048: int p; 049: int newcolor; 050: 051: // 画像サイズの取得 052: width = img.getWidth(); 053: height= img.getHeight(); 054: 055: for ( y = 0; y < height; ++ y ) { 056: for ( x = 0; x < width; ++ x ) { 057: // (x,y)の色を取得 058: color = img.getRGB( x, y ); 059: 060: // 色をr,g,bに分解 061: r = ( color >> 16 ) & 0xff; 062: g = ( color >> 8 ) & 0xff; 063: b = color & 0xff; 064: 065: // rgbに重みを付けてpを計算 066: p = (int)( 0.29891 * (double)r 067: + 0.58661 * (double)g 068: + 0.11448 * (double)b ); 069: 070: // r,g,bにpを代入 071: r = p; 072: g = p; 073: b = p; 074: 075: // r,g,bの色を合成 076: newcolor = ( r << 16 ) + ( g << 8 ) + b; 077: 078: // 合成した色を(x,y)に設定 079: img.setRGB( x, y, newcolor ); 080: } 081: } 082: 083: try { 084: // imgをoutname(出力JPEG)に保存 085: result = ImageIO.write( img, "jpeg", new File( outname ) ); 086: } catch ( Exception e ) { 087: // outname(出力JPEG)の保存に失敗したときの処理 088: e.printStackTrace(); 089: return; 090: } 091: 092: // 正常に終了 093: System.out.println( "正常に終了しました" ); 094: } 095: }
GrayScale2を実行
C:\talavax\javasample>java GrayScale2 sampleimage001_400x320.jpg gray2.jpg
1つ目の引数で渡したJPEGファイルをグレースケールの画像に変換し、2つ目の引数で指定したJPEGファイル名で保存します。
実行結果
・元の画像(sampleimage001_400x320.jpg)

・変換後のグレースケール画像(gray2.jpg)

画像が、白色と灰色(グレー)と黒色で表現されました。
ここからは、このソースコードを上から順番に解説していきます。
001: import java.awt.image.BufferedImage; 002: import java.io.File; 003: import javax.imageio.ImageIO; 004: import java.io.IOException;
Javaのクラスライブラリの中から「java.awt.image.BufferedImage」と「java.io.File」と「javax.imageio.ImageIO」と「java.io.IOException」というパッケージにあるクラスを、このプログラム内で使うために記述します。 この記述により、ImageIOクラスとBufferedImageクラスが利用できるようになります。
006: public class GrayScale2 {
クラス名を、GrayScale2としています。
007: public static void main( String[] args ) {
このmainメソッドからプログラムを実行します。
008: // 結果格納フラグ 009: boolean result; 010: // ファイル名 011: String inname, outname; 012: // 画像格納クラス 013: BufferedImage img = null;
このプログラムで使う変数を宣言しています。どのように使われているかは、後ろのソースコードで。
015: // 入力した引数が2つ以上かを調べる 016: if ( 2 > args.length ) { 017: // 入力した引数が2つ未満の場合、使用方法を表示する 018: System.out.println( "GrayScale2 [入力JPEG名] [出力JPEG名]" ); 019: return; 020: }
2つ以上の引数が与えられたかをチェックし、2つ未満の場合に、使い方のメッセージを表示し、returnによってmainメソッドを抜けています。
022: // 入力JPEG名をinnameに代入(拡張子".jpg"省略なし) 023: inname = args[ 0 ]; 024: // 出力JPEG名をoutnameに代入(拡張子".jpg"省略なし) 025: outname = args[ 1 ];
与えられた引数をそれぞれ、入力JPEG名の変数(inname)、出力JPEG名の変数(outname)代入しています。
027: try { 028: // inname(入力JPEG)を読み込んでimgにセット 029: img = ImageIO.read( new File( inname ) ); 030: } catch (Exception e) { 031: // inname(入力JPEG)の読み込みに失敗したときの処理 032: e.printStackTrace(); 033: return; 034: }
入力JPEG名の変数(inname)を読み込んで、BufferedImageクラスのimgに格納しています。この処理には、ImageIOクラスのreadメソッドを使います。
ImageIO.readメソッド
■Fileオブジェクトを復元した結果をBufferedImageに格納します。 パラメータ input : Fileオブジェクト 戻り値 inputを復元したBufferedImageaを返します。
try { ~ } catchは、失敗する可能性がある処理を波括弧で囲み、その処理に失敗したときにcatch { ~ }の波括弧で囲まれた処理を実行するということです。この場合は、JPEGファイル名が不正であったり、存在していなかったり、フォーマットが違っているなどが原因で処理が失敗する可能性があります。処理が失敗するとreturnによってmainメソッドを抜けるようにしています。
036: // 画像の色の持ち方をチェック 037: if ( BufferedImage.TYPE_3BYTE_BGR != img.getType() ) 038: { 039: System.out.println( "対応していないカラーモデルです!(" 040: + inname +")" ); 041: return; 042: }
BufferedImageクラスのgetTypeメソッドで画像のイメージ型を取得しています。
BufferedImage.getTypeメソッド
■イメージ型を返します。 パラメータ なし 戻り値 BufferedImage のイメージ型を返します。
044: // グレースケール変換 045: int x, y; 046: int width, height; 047: int color, r, g, b; 048: int p; 049: int newcolor;
051: // 画像サイズの取得 052: width = img.getWidth(); 053: height= img.getHeight();
widthに画像の幅(ピクセル)、heightに画像の高さ(ピクセル)を代入しています。
055: for ( y = 0; y < height; ++ y ) { 056: for ( x = 0; x < width; ++ x ) { 057: // (x,y)の色を取得 058: color = img.getRGB( x, y );
画像の中の全てのピクセルの座標を参照する変数xと変数yの多重ループをつくり、その座標の色情報を取得しています。具体的には、変数yを0~height-1、変数xを0~width-1に変化させながら、BufferedImageクラスのgetRGBメソッドで、(x,y)の色を変数colorに代入しています。
BufferedImage.getRGBメソッド
■(x,y)で指定した画像座標の色情報を取得します。 パラメータ x : 画像のx座標(単位ピクセル) y : 画像のy座標(単位ピクセル) 戻り値 (x,y)の色情報
060: // 色をr,g,bに分解 061: r = ( color >> 16 ) & 0xff; 062: g = ( color >> 8 ) & 0xff; 063: b = color & 0xff;
変数colorに入っている色情報を赤(R)、緑(G)画、青(B)の成分に分解し、それぞれ変数r、g、bに代入しています。
色の分解方法の詳細はこちらを参照してください。「色をARGB値に分解」
065: // rgbに重みを付けてpを計算 066: p = (int)( 0.29891 * (double)r 067: + 0.58661 * (double)g 068: + 0.11448 * (double)b );
赤(R)、緑(G)、青(B)の成分でNTSC加重平均を求め、その値を変数pに代入しています。
070: // r,g,bにpを代入 071: r = p; 072: g = p; 073: b = p; 074: 075: // r,g,bの色を合成 076: newcolor = ( r << 16 ) + ( g << 8 ) + b;
赤(R)、緑(G)、青(B)の成分にNTSC加重平均値(変数p)を代入し、その成分を合成して、新しい色(変数newcolor)を作成しています。
078: // 合成した色を(x,y)に設定 079: img.setRGB( x, y, newcolor );
新しい色(変数newcolor)を(x,y)に代入して、カラーの色情報をグレースケールに変換しています。
083: try { 084: // imgをoutname(出力JPEG)に保存 085: result = ImageIO.write( img, "jpeg", new File( outname ) ); 086: } catch ( Exception e ) { 087: // outname(出力JPEG)の保存に失敗したときの処理 088: e.printStackTrace(); 089: return; 090: }
BufferedImageクラスのimgのメモリ内のデータを、出力JPEG名の変数(outname)に格納されているファイル名で保存します。この場合は、JPEGファイル名が不正であったり、保存先のHDDなどが存在していなかったり、空き容量が少ないなどが原因で処理が失敗する可能性があります。
ImageIO.writeメソッド
■BufferedImageを画像ファイルに保存します。 パラメータ RenderedImage : 保存するRenderedImage formatName : 画像ファイルのフォーマット(png/jpeg/bmp/gifなど) output : Fileオブジェクト 戻り値 保存に成功するとtrue、失敗するとfalseを返します。
092: // 正常に終了 093: System.out.println( "正常に終了しました" );
全ての処理が正常終了すると、ここまで処理が実行されます。
次に、RGBの平均値で作成した画像(左下)とNTSC加重平均で作成した画像(右下)を並べてみました。


2つの画像を比較すると、ほぼ同じように見えますが、左側の画像の方が若干暗く感じます。
興味があれば、いろんな画像を変換してみてください。
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