2020.10.13

2値化 その2

はじめに

フルカラー画像を2色だけで表現した2値画像に変換し、2値のBMP形式で保存する方法を説明します。

元の画像
元の画像
 
右矢印
2値画像
2値画像

フルカラー画像が持つ画素の色RGBの値が、白と黒のどちらの色に近いかを自動判定し、その近い色で埋めて画像を作成します。

ここで紹介する方法は、BufferedImageクラスで2値の画像を作成し、setRGBメソッドフルカラー画像RGB値を格納していくものです。

BufferedImageクラスで作成した2値画像カラーマップは黒(R=G=B=0)と白(R=G=B=255)の2色となります。この2つの色は、後で変えることもできます。

この2値画像に任意のRGB値を格納すると、自動的に2色のうちの近いほうの色を選んでくれます。これにより簡単に2値の画像を作成することができます。

2値化した画像は、2値のBMP形式で保存するようにしています。

Javaソースコード

以下は、上記内容のJavaソースコード例です。

Binarization2.java

001
002
003
004
005
006
007
008
009
010
011
012
013
014
015
016
017
018
019
020
021
022
023
024
025
026
027
028
029
030
031
032
033
034
035
036
037
038
039
040
041
042
043
044
045
046
047
048
049
050
051
052
053
054
055
056
057
058
059
060
061
062
063
064
065
066
067
068
069
070
071
072
073
074
075
076
077
078
079
080
081
082
083
084
085
086
087
088
089
090
091
092
093
094
095
096
097
098
import java.awt.image.BufferedImage;
import java.io.File;
import javax.imageio.ImageIO;
import java.io.IOException;

public class Binarization2 {
	public static void main( String[] args ) {
		// ファイル名
		String inname, outname;
		// 画像格納クラス
		BufferedImage img = null;

		// 入力した引数が2つ以上かを調べる
		if ( 2 > args.length ) {
			// 入力した引数が2つ未満の場合、使用方法を表示する
			System.out.println(
				 "Binarization2 [入力JPEG名]  [出力BMP名]" );
			return;
		}

		// 入力JPEG名をinnameに代入(拡張子".jpg"省略なし)
		inname  = args[ 0 ];
		// 出力BMP名をoutnameに代入(拡張子".bmp"省略なし)
		outname = args[ 1 ];

		// JPEG画像の読み込み
		try {
			// inname(入力JPEG)を読み込んでimgにセット
			img = ImageIO.read( new File( inname ) );
		} catch (Exception e) {
			// inname(入力JPEG)の読み込みに失敗したときの処理
			 e.printStackTrace();
			return;
		}

		// 画像の色の持ち方をチェック
		if ( BufferedImage.TYPE_3BYTE_BGR != img.getType() )
		{
			System.out.println( "対応していないカラーモデルです!("
									 + inname +")" );
			return;
		}

		// 2値化
		int x, y;
		int width, height;
		int color, r, g, b;
		int newcolor;
		BufferedImage img2 = null;

		// 画像サイズの取得
		width = img.getWidth();
		height= img.getHeight();

		// 1ビットカラーの画像を作成
		try {
			img2 = new BufferedImage( width, height,
					BufferedImage.TYPE_BYTE_BINARY );
		} catch ( Exception e ) {
			// 画像作成に失敗したときの処理
			e.printStackTrace();
			return;
		}

		// 2値化処理
		for ( y = 0; y < height; ++ y ) {
			for ( x = 0; x < width; ++ x ) {
				// (x,y)の色を取得
				color = img.getRGB( x, y );

				// 色をr,g,bに分解
				r = ( color >> 16 ) & 0xff;
				g = ( color >> 8 ) & 0xff;
				b = color & 0xff;

				// r,g,bの色を合成
				newcolor = ( r << 16 ) + ( g << 8 ) + b;

				// 合成した色を(x,y)に設定
				img2.setRGB( x, y, newcolor );
			}
		}

		// 2値のBMPで保存
		try {
			boolean result;
			// imgをoutname(出力BMP)に保存
			result = ImageIO.write( img2, "bmp", new File( outname ) );
		} catch ( Exception e ) {
			// outname(出力BMP)の保存に失敗したときの処理
			e.printStackTrace();
			return;
		}

		// 正常に終了
		System.out.println( "正常に終了しました" );
	}
}

コンパイル ソースコードが「ANSI」の場合

C:\talavax\javasample>javac -encoding sjis Binarization2.java

コンパイル ソースコードが「UTF-8」の場合

C:\talavax\javasample>javac Binarization2.java

実行

C:\talavax\javasample>java Binarization2 indexcolor-full.jpg binarization2.bmp

1つ目の引数で渡したJPEGファイルグレースケール画像に変換し、2つ目の引数で指定したBMPファイル名で保存します。

・元の画像(indexcolor-full.jpg.jpg)

元画像

・変換後の2値のBMP画像(binarization2.bmp)

2値のBMP画像2値のBMP画像

画像が、白と黒の2色で表現されました。作成したBMP形式画像非圧縮ですが、ビットの深さが1(2色を表す)なのでサイズは、比較的小さくなっています。

Javaソースコードの解説

それでは、このソースコードを順番に見ていきましょう。

001
002
003
004
import java.awt.image.BufferedImage;
import java.io.File;
import javax.imageio.ImageIO;
import java.io.IOException;

Javaクラスライブラリの中から「java.awt.image.BufferedImage」と「java.io.File」と「javax.imageio.ImageIO」と「java.io.IOException」というパッケージにあるクラスを、このプログラム内で使うために記述します。 この記述により、ImageIOクラスBufferedImageクラスが利用できるようになります。

006
public class Binarization2 {

クラス名を、Binarization2としています。

007
	public static void main( String[] args ) {

このmainメソッドからプログラムを実行します。

008
009
010
011
		// ファイル名
		String inname, outname;
		// 画像格納クラス
		BufferedImage img = null;

このプログラムで使う変数を宣言しています。

013
014
015
016
017
018
019
		// 入力した引数が2つ以上かを調べる
		if ( 2 > args.length ) {
			// 入力した引数が2つ未満の場合、使用方法を表示する
			System.out.println(
				 "Binarization2 [入力JPEG名]  [出力BMP名]" );
			return;
		}

2つ以上の引数が与えられたかをチェックし、2つ未満の場合に、使い方のメッセージを表示し、returnによってmainメソッドを抜けています。

021
022
023
024
		// 入力JPEG名をinnameに代入(拡張子".jpg"省略なし)
		inname  = args[ 0 ];
		// 出力BMP名をoutnameに代入(拡張子".bmp"省略なし)
		outname = args[ 1 ];

与えられた引数をそれぞれ、入力JPEG名の変数(inname)、出力BMP名の変数(outname)代入しています。

026
027
028
029
030
031
032
033
034
		// JPEG画像の読み込み
		try {
			// inname(入力JPEG)を読み込んでimgにセット
			img = ImageIO.read( new File( inname ) );
		} catch (Exception e) {
			// inname(入力JPEG)の読み込みに失敗したときの処理
			 e.printStackTrace();
			return;
		}

入力JPEG名の変数(inname)を読み込んで、BufferedImageクラスのimgに格納しています。この処理には、ImageIOクラスreadメソッドを使います。

ImageIO.readメソッド

public static BufferedImage read( File input ) throws IOException
・Fileオブジェクトを復元した結果をBufferedImageに格納します。

  パラメータ input : Fileオブジェクト

  戻り値     inputを復元したBufferedImageaを返します。

try { ~ } catchは、失敗する可能性がある処理を波括弧で囲み、その処理に失敗したときにcatch { ~ }の波括弧で囲まれた処理を実行するということです。この場合は、JPEGファイル名が不正であったり、存在していなかったり、フォーマットが違っているなどが原因で処理が失敗する可能性があります。処理が失敗するとreturnによってmainメソッドを抜けるようにしています。

036
037
038
039
040
041
042
		// 画像の色の持ち方をチェック
		if ( BufferedImage.TYPE_3BYTE_BGR != img.getType() )
		{
			System.out.println( "対応していないカラーモデルです!("
									 + inname +")" );
			return;
		}

BufferedImageクラスgetTypeメソッド画像のイメージ型を取得しています。

BufferedImage.getTypeメソッド

public static int getType()
・イメージ型を返します。

  パラメータ なし

   戻り値     BufferedImage のイメージ型を返します。
044
045
046
047
048
049
		// 2値化
		int x, y;
		int width, height;
		int color, r, g, b;
		int newcolor;
		BufferedImage img2 = null;

2値化で使う変数を宣言しています。

051
052
053
		// 画像サイズの取得
		width = img.getWidth();
		height= img.getHeight();

widthに画像の幅(ピクセル)、heightに画像の高さ(ピクセル)を代入しています。

055
056
057
058
059
060
061
062
063
		// 1ビットカラーの画像を作成
		try {
			img2 = new BufferedImage( width, height,
					BufferedImage.TYPE_BYTE_BINARY );
		} catch ( Exception e ) {
			// 画像作成に失敗したときの処理
			e.printStackTrace();
			return;
		}

フルカラーと同じ大きさの新しい2値画像を作成しています。色の種類BufferedImage.TYPE_BYTE_BINARYBufferedImageクラスを作成すると2値画像になります。

065
066
067
068
069
		// 2値化処理
		for ( y = 0; y < height; ++ y ) {
			for ( x = 0; x < width; ++ x ) {
				// (x,y)の色を取得
				color = img.getRGB( x, y );

画像の中の全てのピクセルの座標を参照する変数xと変数yの多重ループをつくり、その座標色情報を取得しています。具体的には、変数yを0~height-1、変数xを0~width-1に変化させながら、BufferedImageクラスgetRGBメソッドで、(x,y)の色を変数colorに代入しています。

BufferedImage.getRGBメソッド

public static int getRGB( int x, int y )
・(x,y)で指定した画像座標の色情報を取得します。

  パラメータ x : 画像のx座標(単位ピクセル)
        y : 画像のy座標(単位ピクセル)

   戻り値      (x,y)の色情報
071
072
073
074
				// 色をr,g,bに分解
				r = ( color >> 16 ) & 0xff;
				g = ( color >> 8 ) & 0xff;
				b = color & 0xff;

変数colorに入っている色情報を赤(R)、緑(G)画、青(B)の成分に分解し、それぞれ変数a、b、cに代入しています。

色の分解方法の詳細はこちらを参照してください。

24ビット(フルカラー)、32ビットカラーからR(赤)、G(緑)、B(青)、A(アルファ値)を抽出する方法を説明しています。

2020.03.23
076
077
				// r,g,bの色を合成
				newcolor = ( r << 16 ) + ( g << 8 ) + b;

色の成分を合成して、新しい色(変数newcolor)を作成しています。

079
080
				// 合成した色を(x,y)に設定
				img2.setRGB( x, y, newcolor );

新しい色(変数newcolor)を(x,y)に代入すると自動的に近い方の色が選択されます。

084
085
086
087
088
089
090
091
092
093
		// 2値のBMPで保存
		try {
			boolean result;
			// imgをoutname(出力BMP)に保存
			result = ImageIO.write( img2, "bmp", new File( outname ) );
		} catch ( Exception e ) {
			// outname(出力BMP)の保存に失敗したときの処理
			e.printStackTrace();
			return;
		}

BufferedImageクラスのimgのメモリ内のデータを、出力BMP名の変数(outname)に格納されているファイル名で保存します。この場合は、BMPファイル名が不正であったり、保存先のHDDなどが存在していなかったり、空き容量が少ないなどが原因で処理が失敗する可能性があります。

ImageIO.wrireメソッド

public static boolean write( RenderedImage im, String formatName, File output ) throws IOException
・BufferedImageを画像ファイルに保存します。

  パラメータ RenderedImage : 保存するRenderedImage
                  formatName     : 画像ファイルのフォーマット(png/jpeg/bmp/gifなど)
                  output             : Fileオブジェクト

  戻り値     保存に成功するとtrue、失敗するとfalseを返します。
095
096
		// 正常に終了
		System.out.println( "正常に終了しました" );

全ての処理が正常終了すると、ここまで処理が実行されます。

以上です。

関連コンテンツ

画像フォーマット形式・色・大きさ・傾きなどの変更、特定の図形(文字・記号など)を見つけたり、取り出したりする画像処理について詳しく解説。

2015.11.29

フルカラー(16,777,216通りの色)から選択した複数の色に、色番号を割り当てたテーブルをカラーマップといいます。

2022.08.25

一般に使われている画像の色の種類ってどんなものがありますか?。色の種類ごとの用途も説明しています。

2015.12.22

閾(しきい)値は、条件を分岐するための境界の値です。

2022.07.14

一般に使われている画像フォーマットには、いろいろな種類があります。画像フォーマットBMP、JPEG、PNG、GIF、TIFFの特徴を知ってますか?

2015.11.29

カラーの画像を、N個のグレー色(白/灰色/黒)で表現した画像に変換する方法を説明しています。

2017.11.17

カラーの画像を白・灰色・黒だけで表現した画像に変換する方法を解説しています。Javaのソースコード付きです。

2020.03.23

NTSC 加重平均法を使ったグレースケール変換を紹介しています。Javaのソースコードを使って詳しく解説しています。

2016.01.26

2値化は、画像処理の1つの方法で、カラー画像を2つ色だけで表現する画像に変換することです。この画像処理をJavaで作ってみませんか?

2016.01.21

PCやスマートフォンのディスプレイに表示されている色、プリンターで印刷される色の仕組みについて解説しています。

2020.03.23

デジタル画像データを構成している要素について解説しています。

2015.12.22

処理を繰り返すために使用するfor文について解説しています。

2020.03.23

for文などのループ中に、さらにループがある多重ループについて解説しています。

2021.02.09

条件式を判断して処理を分岐する方法を詳しく説明しています。

2023.03.20

変数やクラスに格納されている値をコンソール出力する方法は?

2020.03.23

メソッドを抜けるときに使用するreturn文について説明しています。

2020.03.20

プログラムの最初に実行されるメソッドは?

2022.12.13

プログラミングで使う変数って何?

2020.03.23

Javaのプログラムを書いてみませんか?プログラムの書き方をくわしく説明しています。

2020.03.23

「Javaソースコード」から実行可能な「オブジェクトコード」に変換する方法をくわしく説明しています。

2020.03.23

Javaのプログラムを作ってみませんか?プログラミングに必要なものの用意から実行までを説明しています。

2020.03.23

Javaの学習に役立つソースコードを多数紹介しています。是非、ご覧ください。

2022.09.10

Swingパッケージを使ってグラフィック表示を行う方法を解説しています。

2020.03.23

繰り返し処理を使ったJavaのソースコードサンプルを紹介しています。

2020.03.23

配列を使うJavaソースコードを多数紹介しています。

2021.05.18

数学に関係するJavaのメソッドやソースコードなどを紹介しています。

2022.10.25

三角形、台形、円などいろいろな図形の面積を計算するプログラムを紹介しています。詳しくは、記事をご覧ください。

2021.05.18

StringクラスとStringBuilderクラスを利用したプログラミングの仕方を紹介しています。

2016.12.16

Javaを使った簡単な応用プログラム(生年月日から年齢を計算プログラムなど)を紹介しています。

2022.07.07

プログラミング、ITに関する用語をまとめています。

2022.10.17

日本で使われてきた伝統文様「和柄」について解説しています。

2022.07.27

画像って何?

2022.07.25

Javaプログラムの構成について解説しています。詳しくは、こちらをご覧ください。

2020.03.23

メソッドの定義方法を詳しく解説しています。Javaのサンプルソースコードを使った説明もあります。

2020.03.23

プログラミング言語とは?種類や特徴について説明しています。

2022.08.03

数値を2進数で表したときの各桁の「0」と「1」に対して演算を行えます。4種類の演算、AND(論理積)、OR(論理和)、XOR(排他的論理和)、NOT(否定)を詳しく説明しています。

2016.03.26

非圧縮とは、データに対してデータサイズを小さくする圧縮しないことです。詳しくは、記事をご覧ください。

2019.10.06

画像の座標系はどのように定義されていますか?

2020.03.23

平面上の位置を表す座標系の1つXY座標系について詳しく解説。

2020.03.23

for文で変数名iがよく使われる理由について説明しています。興味のある方は是非。

2022.08.29

コンピュータに保存されたファイルを特定するための名前がファイル名です。その付け方は?

2016.11.23

コンピュータは、いくつかの装置から構成されています。その主な5つの装置(機能)って何?

2022.07.10

データを記憶する部品のことで、ハードディスク、ハードディスクドライブと呼ばれます。電源の供給がなくてもデータが消えない記憶装置です。

2022.07.14

「ゆるゆるプログラム」のコンテンツを紹介しています。興味のある方はこの記事をご覧ください。

2020.03.23

広告