2020.12.22

数学

格子座標から円周率πを計算

円周率πを計算で求める方法を紹介します。

ここでは、単位円を外接する正方形を格子状に区切り、格子全体の座標数と、の中に入っている座標の比率を利用して円周率πを求める方法を紹介します。

単位円の中心座標を(0,0)とすると、外接する正方形の左上の座標は(-1,1)、右下の座標は(1,-1)です。

単位円を外接する正方形
単位円を外接する正方形

この正方形の1辺の長さは2で、面積は4(=2x2)です。単位円面積π(=1x1xπ)です。

よって、以下の比が成り立ちます。

外接正方形面積 : 格子全体の座標数 = 単位円面積 : 内の格子座標

これを単位円面積を計算する式に変形すると、

単位円面積=外接正方形面積×(内の格子座標数÷格子全体の座標数)

となります。

この式は、格子の数が多ければ大きいほど円周率πに近づきます。

下図の例は、格子の座標数が全部で81で、円周率πの計算結果は2.42となりました。格子の座標数が少ないので精度が悪いです。円周率3.14には程遠いです。

格子の座標数から円周率πを計算

それでは、格子を使った円周率πを求めるプログラムを見ていきましょう。

Javaソースコード

以下は、Javaソースコードです。x軸y軸を20000分割して計算しています。

GridPI.java

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public class GridPI {
	public static void main( String[] args ) {
		// 変数の宣言
		int    cellnum;
		int    x, y;
		double in_num;
		double left, right;
		double top, bottom;
		double celllen;
		double cellx, celly;
		double l2;

		// 単位円に外接する正方形の左上と右下の座標を代入
		// 左上の座標
		left = -1.0;
		top = 1.0;

		// 右下の座標
		right = 1.0;
		bottom = -1.0;

		// 1辺の格子の数
		cellnum = 20000;

		// セルの幅を計算(x軸だけで計算)
		celllen = ( right - left ) /  (double)( cellnum - 1 );

		// 円周率πの計算のメイン
		// 円内の座標の個数を初期化
		in_num = 0.0;

		// 格子のy座標の初期値
		celly = top;
		for ( y = 0; y < cellnum; y++ ) {
			// 格子のx座標の初期値
			cellx = left;
			for ( x = 0; x < cellnum; x++ ) {
				// 単位円の中心座標(0,0)と
				//セルの直線距離の2乗を計算
				l2 = cellx * cellx + celly * celly;

				// 単位円の中かを判定
				if ( 1.0 >= l2 ) {
					// 単位円の中と判定
					// 単位円の線上も中と判定
					++ in_num;
				}
				// 格子のx座標にセルの幅を足す
				cellx += celllen;
			}
			// 格子のy座標からセルの幅を引く
			celly -= celllen;
		}

		// 外接正方形の面積を計算(計算結果は4.0)
		double sq_area = ( right - left ) * ( top - bottom ); 		

		// 格子全体の座標数
		double all_num =  (double)cellnum *  (double)cellnum;

		// 円周率πを計算
		double pi = sq_area * in_num / all_num;

		// 結果を出力
		System.out.println( pi );
	}
}

コンパイル ソースコードが「ANSI」の場合

C:\talavax\javasample>javac -encoding sjis GridPI.java

コンパイル ソースコードが「UTF-8」の場合

C:\talavax\javasample>javac GridPI.java

実行

C:\talavax\javasample>java GridPI

出力結果

3.14127716

実際の円周率πは、

3.141592653589793238462・・・

です。分割数20000でも小数点以下第3桁までしか一致しません。

この方法は、精度は悪く実用的ではないです。

Javaソースコードの解説

001
public class GridPI {

クラス名を、GridPIとしています。

002
	public static void main( String[] args ) {

このmainメソッドからプログラムを実行します。

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011
		// 変数の宣言
		int    cellnum;
		int    x, y;
		double in_num;
		double left, right;
		double top, bottom;
		double celllen;
		double cellx, celly;
		double l2;

このプログラムで使う変数を宣言しています。

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016
		// 単位円に外接する正方形の左上と右下の座標を代入
		// 左上の座標
		left = -1.0;
		top = 1.0;

単位円を外接する正方形の左上の座標を代入しています。

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020
		// 右下の座標
		right = 1.0;
		bottom = -1.0;

単位円を外接する正方形の右下の座標を代入しています。

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023
		// 1辺の格子の数
		cellnum = 20000;

x軸y軸の格子の数を格納する変数cellnumに20000を代入しています。

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026
		// セルの幅を計算(x軸だけで計算)
		celllen = ( right - left ) /  (double)( cellnum - 1 );

正方形x軸方向の長さを格子の数から1を引いた値( cellnum - 1 )で割って格子の間隔を計算し、変数celllenに代入しています。

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030
		// 円周率πの計算のメイン
		// 円内の座標の個数を初期化
		in_num = 0.0;

ここから円周率πの計算です。

の内側の個数の初期値に0を代入しています。

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		// 格子のy座標の初期値
		celly = top;
		for ( y = 0; y < cellnum; y++ ) {
			// 格子のx座標の初期値
			cellx = left;
			for ( x = 0; x < cellnum; x++ ) {

for文正方形に含まれる全ての格子座標(cellx,celly)を求めています。

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				// 単位円の中心座標(0,0)と
				//セルの直線距離の2乗を計算
				l2 = cellx * cellx + celly * celly;

				// 単位円の中かを判定
				if ( 1.0 >= l2 ) {
					// 単位円の中と判定
					// 単位円の線上も中と判定
					++ in_num;
				}

単位円の中心座標(0,0)と(cellx,celly)の直線距離2乗を計算した値を変数l2に代入し、その値が単位円半径2乗(1.0=1.0x1.0)以下の場合にの中に入っていると判定し、変数in_numに1を足しています。

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				// 格子のx座標にセルの幅を足す
				cellx += celllen;
			}
			// 格子のy座標からセルの幅を引く
			celly -= celllen;

変数xのfor文でcellxにcelllenを足しています。変数yのfor文でcellyからcelllenを引いています。

これで左上から右下の順番で格子座標(cellx,celly)を求めています。

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		// 外接正方形の面積を計算(計算結果は4.0)
		double sq_area = ( right - left ) * ( top - bottom ); 		

単位円に外接する正方形面積を計算した結果を変数sq_areaに代入しています。

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		// 格子全体の座標数
		double all_num =  (double)cellnum *  (double)cellnum;

格子全ての座標数を計算した結果を変数all_numに代入しています。

061
062
		// 円周率πを計算
		double pi = sq_area * in_num / all_num;

円周率πを計算して、変数piに代入しています。

064
065
		// 結果を出力
		System.out.println( pi );

円周率πコンソール出力しています。、

以上です。

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