2023.02.20

予約語

finally句

ここでは、例外発生の有無に関わらず、実行する処理を記述するfinallyブロックについて解説します。

以下のように、記述します。

try {
	実行する処理1;
	実行する処理2;
	   :
	実行する処理n;
}
catch(例外クラス 変数名) {
	例外が発生したときの処理;
	例外が発生したときの処理;
}
finally {
	最後に実行する処理;
}

finallyを使わない場合 その1

まず、finallyブロックが無いtry { ... } catch { ... }についてについて解説します。

ここでは、「最後に実行する処理」をtryブロックとcatchブロックの外に記述します。

try {
	実行する処理1;
	実行する処理2;
	   :
	実行する処理n;
}
catch(例外クラス 変数名) {
	例外が発生したときの処理;
}

最後に実行する処理;

上記のソースコードのtryブロック内の「実行する処理1」から「実行する処理n」のどこかで例外が発生した場合、失敗した処理より後の処理は実行されずに、catchブロック内の「例外が発生したときの処理」に移行します。例えば、「実行する処理2」で例外が発生した場合、「実行する処理3」からの処理は実行されずに、catchブロックの処理に移行します。

このソースコードの場合、tryブロック内で例外が発生しない場合でも、発生した場合でも「最後に実行する処理」が実行されます。

以下は、実際に動作するJavaソースコードです。

FinallySample1.java

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// finally説明用のサンプル1
// finallyブロックはありません。

public class FinallySample1 {
	public static void main(String[] args) {
		try {
			int a = 5;	// 割られる数 a
			int b = 0;	// 割る数 b
			int c = a / b;	// 割り算の結果をcに代入

			System.out.println( c );	// 割り算の結果を出力
		}
		catch ( ArithmeticException e ) {
			System.out.println( "エラー(" + e + ")" );	// エラー内容を出力
		}

		// 最後に実行する処理
		System.out.println( "最後に実行する処理" );
	}
}

FinallySample1.javaをコンパイル(ソースコードがANSIの場合)

javac -encoding sjis FinallySample1.java

FinallySample1を実行

java FinallySample1

FinallySample1の出力結果

エラー(java.lang.ArithmeticException: / by zero)
最後に実行する処理

finallyを使わない場合 その2

以下のソースコードの場合はどうでしょうか?

try {
	実行する処理1;
	実行する処理2;
	   :
	実行する処理n;
}
catch(例外クラス 変数名) {
	例外が発生したときの処理;
	return;
}

最後に実行する処理;

tryブロック内で例外が発生しない場合は、tryブロックを抜けて「最後に実行する処理」が実行されます。

例外が発生した場合は、catchブロックに処理が移行します。catchブロック内にreturn文があるので、そのreturn文以降の処理が実行されません。よって、「最後に実行する処理」も実行されません。

以下は、実際に動作するJavaソースコードです。

FinallySample2.java

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// finally説明用のサンプル2
// finallyブロックはありません。

public class FinallySample2 {
	public static void main(String[] args) {
		try {
			int a = 5;	// 割られる数 a
			int b = 0;	// 割る数 b
			int c = a / b;	// 割り算の結果をcに代入

			System.out.println( c );	// 割り算の結果を出力
		}
		catch ( ArithmeticException e ) {
			System.out.println( "エラー(" + e + ")" );	// エラー内容を出力

			// mainメソッドを抜ける
			return;
		}

		// 最後に実行する処理
		System.out.println( "最後に実行する処理" );
	}
}

FinallySample2.javaをコンパイル(ソースコードがANSIの場合)

javac -encoding sjis FinallySample2.java

FinallySample2を実行

java FinallySample2

FinallySample2の出力結果

エラー(java.lang.ArithmeticException: / by zero)

finallyを使わない場合 その3

以下は、あまり良くないソースコードの書き方で、tryブロックとcatchブロックの中の両方に「最後に実行する処理」を記述したものです。

この書き方の場合、例外が発生しなくても発生しても「最後に実行する処理」が実行されますが、同じ処理を複数回記述しているので、良いとはいえません。

try {
	実行する処理1;
	実行する処理2;
	   :
	実行する処理n;
	最後に実行する処理;
}
catch(例外クラス 変数名) {
	例外が発生したときの処理;
	最後に実行する処理;
	return;
}

以下は、実際に動作するJavaソースコードです。

FinallySample3.java

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// finally説明用のサンプル3
// finallyブロックはありません。

public class FinallySample3 {
	public static void main(String[] args) {
		try {
			int a = 5;	// 割られる数 a
			int b = 0;	// 割る数 b
			int c = a / b;	// 割り算の結果をcに代入

			System.out.println( c );	// 割り算の結果を出力

			// 最後に実行する処理
			System.out.println( "最後に実行する処理" );
		}
		catch ( ArithmeticException e ) {
			System.out.println( "エラー(" + e + ")" );	// エラー内容を出力

			// 最後に実行する処理
			System.out.println( "最後に実行する処理" );

			// mainメソッドを抜ける
			return;
		}
	}
}

FinallySample3.javaをコンパイル(ソースコードがANSIの場合)

javac -encoding sjis FinallySample3.java

FinallySample3を実行

java FinallySample3

FinallySample3の出力結果

エラー(java.lang.ArithmeticException: / by zero)
最後に実行する処理

finallyを使う

次に、finallyブロックを記述したtry { ... } catch { ... } finally { ... }についてについて解説します。

ここでは、「最後に実行する処理」finallyブロックに記述します。

try {
	実行する処理1;
	実行する処理2;
	   :
	実行する処理n;
}
catch(例外クラス 変数名) {
	例外が発生したときの処理;
	例外が発生したときの処理;
	return;
}
finally {
	最後に実行する処理;
}

このソースコードは、tryブロックで例外の発生の有無に関わらす「最後に実行する処理」が実行されます。

catchブロックの中に、return文があるのでメソッドを抜けます。finallyブロックの中の処理は、このreturn文に関係なく実行されます。

以下は、実際に動作するJavaソースコードです。

FinallySample4.java

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// finally説明用のサンプル4
// finallyブロックで「最後に実行する処理」を実行します。

public class FinallySample4 {
	public static void main(String[] args) {
		try {
			int a = 5;	// 割られる数 a
			int b = 0;	// 割る数 b
			int c = a / b;	// 割り算の結果をcに代入

			System.out.println( c );	// 割り算の結果を出力
		}
		catch ( ArithmeticException e ) {
			System.out.println( "エラー(" + e + ")" );	// エラー内容を出力

			// mainメソッドを抜ける
			return;
		}
		finally {
			// 最後に実行する処理
			System.out.println( "最後に実行する処理" );
		}
	}
}

FinallySample4.javaをコンパイル(ソースコードがANSIの場合)

javac -encoding sjis FinallySample4.java

FinallySample4を実行

java FinallySample4

FinallySample4の出力結果

エラー(java.lang.ArithmeticException: / by zero)
最後に実行する処理

finallyでやってはいけないこと

finallyブロック内で、制御が外へ移行する処理が記述できません。

以下がその例です。

	finally {
		return;
	}
	finally {
		break;
	}
	finally {
		continue;
	}
	finally {
		System.exit( 0 );
	}

以下は、実際に動作するJavaソースコードです。

finallyブロックの中にreturn文を記述している例です。

FinallySample5.java

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// finally説明用のサンプル5
// finallyブロックにreturn文を記述しています。(お勧めしません)

public class FinallySample5 {
	private static String FinallyTest()
	{

		try {
			int a = 5;	// 割られる数 a
			int b = 0;	// 割る数 b
			int c = a / b;	// 割り算の結果をcに代入

			System.out.println( c );	// 割り算の結果を出力
		}
		catch ( ArithmeticException e ) {
			System.out.println( "エラー(" + e + ")" );	// エラー内容を出力

			// メソッドを抜ける
			return "catchブロックのreturn実行";
		}
		finally {
			// 最後に実行する処理
			return "finallyブロックのreturn実行";
		}
	}


	public static void main(String[] args) {
		String ans = FinallyTest();

		// 結果をコンソール出力
		System.out.println( ans );
	}
}

FinallySample5.javaをコンパイル(ソースコードがANSIの場合)

javac -encoding sjis FinallySample5.java

FinallySample5を実行

java FinallySample5

FinallySample5の出力結果

エラー(java.lang.ArithmeticException: / by zero)
finallyブロックのreturn実行

catchブロック内のreturn文ではなく、finallyブロック内のreturn文の値がメソッド戻り値になっています。

finallyブロック内でreturn文を使うことは、分かりにくいソースコードになるためお勧めしません。

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